先日、『Trade off』というタイトルの本をたまたま書店で手にとり購入したところ、思いがけず興味深い発見がありました。

消費者は、あらゆる商品やサービスに対して「上質さ」と「手軽さ」のどちらを選択するか天秤にかけているという。

例えば、一枚数万円するクラシックコンサートのチケットを手に入れて、フォーマルな装いで会場まで出向いていく一連の行為と、数百円でパソコンを通じてダウンロードした曲をデジタル音楽プレイヤーにて聴く一連の行為は、音楽を楽しむということにおいては、何ら変わりはありません。
エルメスのバッグとギャップのバッグとでは、バッグという「モノを持ち運ぶ手段」で考えると、その二つには恐ろしいほどの値段の開きがあります。

上質さとは、行為やモノそのものではなくその一連の流れ(素敵な装いでプラチナチケットのコンサートに行く・新作のエルメスのバッグを誰よりも早く手に入れる)によって得られる経験全体を指します。それはステータスやオーラといった言葉で換言できるかも知れません。
逆に、手軽さとは望むものの手に入り安さ(価格や流通度)になるかと思います。

これは、どのようなビジネスであっても、多かれ少なかれこの二者択一(上質さか手軽さか)の枠組の中で消費活動が行われています。重要なのはどちらが優れているという話ではなく、上質でもなく手軽でもないサービスや商品は、いずれどのターゲット層からも見向きもされない「不毛地帯」に追いやられてしまう、あるいは、二兎を得ようとしてもそれは幻影の姿であって、結局中途半端になってしまうと言うことです。

商品や事業の戦略を考える時に、様々な手法を持いて消費者のニーズやマーケットの状況、競合他社の動向などを分析しますが、この単純で分かり易い軸(それは上質なのか?手軽なのか?)は多くの決断を要する場面で役に立ちそうです。

プロモーション事業部 北村