ここ数年、出産育児一時金制度が、たびたび変更になっています。
今年の3月にも現行の支給額42万円の変更が検討されていましたが、これに関しては現状維持ということで変更がありませんでした。

出産育児一時金の支給額は平成18年10月に30万円から35万円へ引き上げられ、現在では42万円にまで引き上げられています。支払方法も被保険者への支給から医療機関への直接払い制度へと変更になり、手続きも会社経由から医療機関経由へとなりました。
これはおもに少子化対策の一環として出産費用の負担軽減と、いわゆる「産み逃げ」(出産費用の踏み倒し)の削減が目的とされていました。

しかし、制度発足後、実際の出産費用をみてみると厚生労働省の調査では医療機関に支払う出産費用は、平成22年8月時点を平均すると約47万円で平成17年から10万円以上増えています。

通常分娩の場合、保険のきかない自由診療であるため、料金は医療機関が自由に決めることができます。平成21年には産科医療保障制度が発足し、医療機関の経費負担が増えることにより出産費用の増額になることが懸念されましたが、それも出産育児一時金から賄うように増額されました。
こういった経緯をみると出産育児一時金をはじめとする医療機関を取り巻く制度の変更により、医療機関が出産費用を上げてきたのが現状のように思われます

国は少子高齢化対策の一環として行った対策であることは確かですが、実際ふたを開けてみると、被保険者が恩恵を受けるのではなく、医療機関が恩恵を受けていたという何とも本末転倒な結果になってしまいました。

少子高齢化という重要課題に国としての早期の対策が必要なのは当然ですが、増額された出産育児一時金や医療機関が加入する産科医療補償制度の掛金は国民が支払っている保険料や税金で賄っています。年金制度、医療制度をはじめ、目先の対策ではなく事前に十分な議論や調査を行い、後世に残す明確な医療制度や保険制度を作り上げるために対策を講じる必要があるのではないのでしょうか。

マネジメント事業部
中丸