先日発表のあった今年の芥川賞で話題をさらったのが西村賢太氏による私小説、「苦役列車」でした。
テレビや雑誌などの報道から興味を引かれ、仕事柄一度読んで見たいと思ってはいるものの、実は未読です。
読んでもいないのにこんな文章を書いているのもおこがましい話ではありますが、
内容的に興味をひかれる反面、すぐに読むのはちょっと気が重いなあというのが正直なところです。

小説の舞台となるのは昭和の終わり。世は正にバブル景気に沸いた狂乱の時代。
しかし中卒で手に職のない主人公は訳あって家族とも縁を切り、一人きりで日雇いの仕事で
その日その日を食いつなぐ若者。
将来の展望などまるで見えない状況は、作者自身の実体験が色濃く反映された物語となっている、とのこと。

WEB上では主人公に共感する若者たちからの大きな反響がよせられているようで、
いわゆる「格差社会」「ワーキング・プア」といった現在の社会状況に疲弊した人たちが、
作中人物に自らを重ねながら読まれている様子が感じられます。
そこで思い出されるのが、数年前にあのプロレタリア文学の古典である小林多喜二氏の「蟹工船」が、
ベストセラーとなり再映画化までされたこと。
概略を読むとどうもあの作品のイメージが被ってしまうのが読むのを躊躇している理由なのですが。

単純に、「煩わしい現実を束の間忘れたい」というささやかな願いを読書に求める私のような者にとっては、
安易に手に取る事がはばかられるような内容(あくまで概略を読む限りでは)でもあり、
周りの反応を見ているところです。

今回この小説が受賞した背景には、その内容が先の見えない現代の世相とシンクロしている部分が
あったことも理由の一つなのではなかろうかと思うのですがどうでしょうか。
内定取り消しや採用数の激減と相変わらず連日のように
就職活動生や求職者のつらい現状が報道されています。 
2011年の雇用状況は、昨年と比べてどのように変化していくのでしょうか。

マネジメント事業部
寺面