三丁目の夕日がまた、映画化されるそうです。

「三丁目の夕日」といえば昭和30年代の高度経済成長期で活気にあふれる古き良き昭和の時代を舞台にしたストーリーです。
昭和30年代といえば団塊の世代が現役真っ盛りの頃であり、現在の日本の状況と比べると労働力人口や経済の面でも、人間同士のコミュニティーという面でも圧倒的に力が溢れていた時代です。「三丁目の夕日」がみたび映画化されるほど受けているのは、おそらくすべての面で力強かった昭和30年代の日本と経済的にも人間関係においても閉塞感で満たされた現代の日本とのギャップをみて、古き良き時代を懐かしむ風潮が強くなっているからかもしれません。
当時の日本では著しい経済成長をしていたことは確かですが、国民の所得はまだ低く、公害問題が騒がれ始めたのもこの時代です。当然ですがこういった問題は映画では取り上げられずに、良いところだけをデフォルメして作成されていますが、そういった問題を考慮しても当時の活動的で力強い生活感が感じられます。

現在のニュース等では失業率の悪化や過去最低の新卒内定率などの雇用問題から先行きの見えない経済状況、そして地域においても組織においても希薄になりつつある人間関係と悪いことばかりが取り上げられ、居酒屋の横の席などからは「昔は良かった」などという言葉が聞こえてきます。
しかし、現在では当時と比べると生活の質や生産技術、情報量等は圧倒的に向上しています。雇用問題や景気については国や政府の見通しが甘いとか人間関係については携帯電話、インターネット、実力主義や結果主義が原因のように取り上げますが、すべては結果としてそれぞれが要因の一つではあるものの、そのすべてを否定することは難しいのではないかと思います。

当時と比べ何が一番違うのかと考えてみると、昭和30年代当時は貧しくても将来に対する希望や目標、使命感というようなものが社会にも個人にも明確に存在していたように思えます。一方、現在は将来に対する希望や目標というものは少なく、起こった問題に対しての否定や現状維持ばかりを考えて将来に向かっていく躍動感のようなものが感じられない気がします。現在の閉塞感というのは経済状況や社会状況も一つの要因ですが、現在、活動している個々人や企業の考え方を変えることによりわずかながらも改善できるのではないでしょうか。現状を守ることも大切なことですが、5年後、10年後にどうなっているのかを想像して目的意識をもって今を過ごすことにより、将来の理想像も変わってくるのではないでしょうか。

「三丁目の夕日」を否定するつもりはありませんし、私も好きな映画の一つです。過去を美化して懐かしむことも娯楽としては良いことですが、昔は良かったと懐かしむだけでなく、現実の問題を直視し将来に向かって目的や使命感を持って動き出すことが必要なのではないでしょうか。


マネジメント事業部
中丸