先日このコラムにおいて「相対的貧困率」という言葉を取り上げました。OECD加盟国30カ国の中でも4番目に低い27位と最下位グループに属するとお話しましたが、このように国単位で一定の基準と方法により比較したときに、国内指標で分からない様々な側面が見えてきます。

同様に各国の労働生産性を比較したデータがあり、2009年版によりますと日本は同加盟国30カ国中20位、G7では最下位という過去最低の順位となっています。

そもそも労働生産性とは何なのかと言いますと、生産量(付加価値)を労働量(労働者数)で除して、労働者一人あたりにつきどれだけの付加価値を生み出したのかを測る尺度のことです。会計上では「付加価値生産性」とも呼ばれ各種の生産性指標の中でも最も重要なものとされています。

仮にアメリカの労働生産性を100とした場合、日本は69程度と7割にも満たず、また加盟諸国の平均75も下回っていますので、いかに日本人一人当たりの生産性が低いかが分かります。一方で、今なおGDPはアメリカに次ぎ世界第2位を保っているという不思議な現状があります。

この二つの指標をクロスさせた時に何が分かるのでしょうか?

労働生産性は、単純に生産量を労働者数で除していますので、GDPという一定期間内に日本国内で生み出された生産量(付加価値)を日本人労働者がどのくらいの効率で生産したのかを示したものとなります。

ここで注目すべきなのが、労働時間という時間軸が加味されていないことです。

何故ここまで労働生産性が低いに関わらず、今だに世界第2位のGDPを保っているのかというと、労働者一人当たりの労働時間でカバーしていることに他なりません。取り分け、サービス業における労働生産性の低さは、イコール労働時間の長さに比例していることになります。日本の労働時間の長さは世界でもトップクラスに位置します。

「サービス残業」という日本固有の言葉がありますが、一定の時間内にどれだけの成果を上げたかよりも、単純にどれだけの時間労働したのかが問われる傾向がありました。それは、経済が右肩上がりで成長していた時代には、働けば働くほど生産量は比例して増えてい行きますので、イコール労働時間の長さで成果を評価することも理に適っていました。

ところが、今はそのような時代ではありません。少子高齢化により2005年の6,870万人をピークに労働者人口は今後減少傾向にあります。ワークライフバランスの観点からも、時間は有限であり時間的制約の中でいかに効率よく生産性を上げるかが最重要課題となります。現状のGDPを保つためには、高齢者や外国人労働者の活用も含めて、どのような仕組みにより最大効果を生み出すかを考え抜く必要があるかが、この指標から分かります。

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北村