平成22年も5月半ばに入り、ゴールデンウィークの休みボケも取れてきているころではないでしょうか。
 新卒の方々も集合研修等が終了し、ゴールデンウィークも過ぎたのでいよいよ本格稼動し始めた頃ではないかと思います。
 さて、今回何を書こうかと考えていたところ、先月に東京商工会議所から「2010年新卒者等採用動向調査結果」が発表されておりました。東京商工会議所会員企業であり、資本金が1000万円〜1億円の企業881社の回答結果により作成された資料であり、非常に興味深かったので、いくつかのポイントにふれてみたいと思います。
 まず、全体で原則、定期に新卒採用を行っている企業のうち2010年度に新卒採用を行った企業は78.2%であり、約2割以上の企業が新卒採用自体を取りやめている状態であります。又、2011年度に新卒者の採用を予定していない企業割合は29.3%と約3割弱は来年も新卒者を採用しないこととなり、まだまだ採用意欲は上向いていないことが現れております。
 新卒採用人数も、2009年と比較し、採用数が減ったとする企業が41%、採用数は変わらないとした企業が32.2%と下向きの傾向であります。2009年採用自体も決して雇用環境の良かった年ではなく、企業側からの内定取り消しが多発した時期であることを考えますと、非常に厳しい数字ではないでしょうか。
 前年より採用数が減った理由については、やはり経営の先行きが不透明であることを挙げる企業が47.6%と多く、2011年新卒採用活動開始時期が前年と比べ遅れている傾向があることと合わせて考えると、「先が読めないので採用を控えたい」・「出来るだけ、先の状況を見据えて慎重に採用活動を開始したい」という企業側の苦しい状況が現れていると思います。
 ただ、注目したい点として、採用減となった理由の第2位が「良い人材が少なかった為に結果的に採用数を減らした」という理由であり23.8%の企業がこの理由を挙げております。
 これと対比するデータとして、企業数的には少ないですが、前年より採用数が増えた企業が挙げる最も多い理由は「不況下で買い手市場であり、例年以上に良い人材を確保するチャンスがあった為」であり、40%の企業がこの理由を挙げておりました。
 ではなぜ、買い手市場であり、新卒採用を行う企業が減少する中で、採用減となった理由の第2位が「良い人材がいなかった」となったのでしょうか?
 ここからは憶測も入りますが、「安定すること」のみを求め、「取り敢えず就職したい」という意識の応募者が増えたことが一因ではないかと考えます。
 企業が新卒採用にあたって、重視するポイントの上位は1位「コミュニケーション能力」63.4%、2位「業務適正」54.9%、3位「積極性」43.6%となっており、言い換えればこれらのポイントについて十分ではないと判断される応募者が多かったと言えます。
 現状やはり、企業側は男性の採用に比較的重きを置いている傾向はあるようですが、その男性自体が安定志向が強くなっており、仕事に対する興味より「取り敢えず就職先を決める」ことのみを意識しているケースが多くなっているようです。
 企業側は「採用してから」を重視していることから、慎重な選考をおこなっておられると思いますので、「就職することだけ」をゴールとして考えている応募者との意識の乖離は大きくなり、その為、採用予定数を割り込むということになったのではないでしょうか。
 確かに、現在の経済情勢や雇用環境、募集数の少ない状況を考えますと、応募者側にとって非常に間口の狭い状況に感じ、そのような気持ちになることは、十分に想像できますが、中小企業の場合、経営者と社員の距離が比較的近く、選考自体に経営者が対応されるケースも多いことから、「本当に会社の戦力となり得る」「当社で働きたいという意欲を感じる」応募者が多くならない限り、中々この状況は変わらないと思います。
 「企業は人なり」とは当社の社訓の一つでもありますが、同様のことは昔から常に言われていることであります。
 企業側が真剣に採用した人材の活用と雇用の安定に取り組み、応募者や社員側が何故その会社に入りたいのか、何がしたいのかを真剣に考え取り組んでいけば、採用ギャップや社内での企業と社員との意識の乖離は縮小すると考えますし、企業の体力強化にも繋がっていくのではないかと私は考えます。
 

プロモーション事業部
大西