これは、1980年代にマイクロソフト社の面接選考試験で用いられた問題の一つです。
当時のCEOのスティーブ・バルマーが役員の一人とジョギング中にマンホールの蓋を踏んで、その丸い形を見てふと思ったそうです。これまで見たマンホールの蓋はどれも丸い。
はて、「マンホールの蓋はなぜどれも丸いのか?」

このエピソードが、現在の社員の選考面接において広く取り入れられているブレイン・ティーザーと呼ばれるものの原型になったと言うのはあまりにも有名な話です。
つまり選考対象者の知識の量を問うのではなく、知恵や機転、また発想力や論理的思考力を問う問題です。

従いまして、答えは一つではありません。また、仮にこの答えを予め知っていたとしてもその方の独自の解答にはなり得ません。例えば、
@他の形状に比べて使う金属の量が少なくコストが安く済むから
A円形だと持ち上げたり、転がしたりするのが楽だから
B円形だと上下左右の向きを気にせずに蓋ができるから
Cマンホールが丸いから!
などなど。その人の価値観や普段の考え方が如実に反映され、個々にとても興味深い解答が得られます。

おそらく、マンホールの蓋を最初に円形に作った人はこのように考えたのではないでしょうか。マンホールの上を歩く人やマンホール内で作業をする人の安全を最優先に考えると、その蓋の形状は三角形でも四角形でもなく、円形でなければならないと。

つまり、円形なのはマンホールに蓋が落ちない唯一の形状だから。 
マンホールの穴の内側のわずかな縁のおかけで丸い蓋はどのような状態になっても穴に落ちません。仮に正方形であれば、対角線は一辺の長さの√2ですから蓋を垂直に持ち上げて少しでもずらすと瞬く間に穴の底に落ちてしまいます。これは三角形や長方形においても同様です。

しかし、ここで重要なのはこれもあくまで仮説であると言うことです。絶対的・普遍的に正しい答えは無くその状況々によって最適な答えがあり、そこに至る過程が重要だと言うことです。その根拠として、重力の無い宇宙空間ではマンホールの蓋が円形でなければならない理由はありません。

状況を注意深く観察し、そして周りや相手の立場になって考えると自ずとその解は得られます。
現代のネット社会では、知識の量はさほど重要ではありません。検索キーワードを入力すれば必要とする知識や情報を一瞬で驚く程の量を得ることができます。ただ、その得た知識や情報(空)をどのように理解し、また気づき・分析し(雨)、どう活用し・応用(傘)するのかその知恵や思考力が問われています。人の採用に際しても、単に知識を問うだけの筆記試験はもう既にナンセンスなのは明らかです。選考対象者のハードディスクの中身や量ではなく、オペレーションシステムの性能を推し量る必要があります。

最後に質問です。
飲み物とタバコの自動販売機では、商品の取り出し口の形状が異なります。前者は外開きで後者は内開きです。飲み物とタバコの違いに着目し、相手(ユーザー)の立場になって考えると自ずとその解は得られます。とてもシンプルかつ納得の行く理由です。

※マンホールについては、時代の流れでパーソンホールやヒューマンホールなど様々な呼び名が考案されていますが、ここではそれがテーマではなく、マンホールの形状をより想起できるよう敢えてこの呼称を使用しています。

プロモーション事業部
北村