「忘己利他(もうこ・りた)」という言葉があります。これは天台宗の開祖、最澄の「己を忘れて他に利するは慈悲の極みなり」という言葉に由来する教えです。自分のことは後回しにして、人の役に立つこと、人に喜んでもらえることをする、そこにこそ幸せがあるという意味です。自分の欲を優先していては、真の幸せは得られないというわけです。

これは人が生きる上で、そして会社経営においても、ひとつの真理なのではないでしょうか。

もしも経営者が、自分の名誉欲や私財にばかり感心を向けていたら、結局そのどれもが満たされないでしょう。お金をたくさん儲けて、会社を大きくしたとしても、それだけではほんとうの幸せは訪れません。

会社経営における忘己利他の第一歩として、「社員の幸せ」から取り組むのもひとつです。

例えば給与の支払い方。着実に会社を成長させたうえで、社員に対してできるだけ給与を支払うようにする。すると、所得税を生み、社会に貢献します。また、給与をしっかりと支払えば、あたり前ですが社員は喜んでくれます。モチベーションやモラールもアップするでしょう。社員の所得を増やすことは、消費の促進にもつながり、国全体の景気を底上げします。何重もの意味で、忘己利他に繋がるのです。

その他にも「自社の経費は他社の売上」など、会社経営における忘己利他のあり方はたくさんあります。

目先の利益を追い求めるあまり、売上向上、経費削減が行き過ぎて自分たちの首を締め、「もう懲りた」と言わないようにしたいものです。


平成29年3月9日

コンサルティング事業部
増尾