現在日本の法律において婚姻の際、夫の姓と妻の姓のいずれかを選択する夫婦同姓が定められています。従いまして、法律上の手続きを経て婚姻届を役所に提出する場合には、夫婦いずれか一方の姓をお互いが名乗ることになります。
法律の条文には確かに「いずれか一方の」と記載がありますが、実のところ夫の姓を選ぶ夫婦が全体の約98%を占めており、妻の姓の殆どが旧姓として扱われています。

一時小泉政権下において、女性議員や女性大臣の誕生により夫婦同姓・別姓議論が盛んに行われていましたが、その契機となるものはやはり女性の社会進出によるものが大きいのかと思います。かつて「寿退社」「お局」という言葉が広く通用していた程、女性は結婚を機に退社するものという慣習や風潮が日本の企業文化に根づいていたのも事実です。結婚を機に退社する以上、夫婦別姓あるいは通称使用などについて深く議論される機会を持たず、また世間も今ほどに関心が無かったのかも知れません。

ちなみに日本で国民に姓が与えられたのは明治に入ってからであり、1898年に制定された明治民法により家族は同一の姓を名乗るものと定められたことに端を発しています。
当時の社会では、結婚は妻が夫の家に入る(家内)こととされており現在のように女性が社会に出て働くということ自体が想定外だったのでしょう。このように夫婦同姓の歴史は実は100年と少ししかなく、また、世界的にみても圧倒的に少数派なのです。海外のユニークな事例として、欧米のように同性・別姓を自由に選べる上、配偶者の姓をミドルネームとして名乗ることを認めているケースもあります。

民法改正試案などで、選択的夫婦別姓案(婚姻時に夫婦同姓か別姓かを選択するもの)や通称使用公認案など様々な形でこれらの問題にアプローチが為されていますが、未だ多数の賛同を得る明確な結論には至っておりません。これは夫婦間の問題だけではなく、子供の姓の取り扱いや家族そのもの在り方、ひいては個人と社会の関係性について深く議論なされなくてはならない大きなテーマであるからだと思います。一筋縄ではいかない非常に難しい問題ではありますが、今後の国会審議や法改正の動向について注目して見守りたいと思います。


プロモーション事業部
北村