N運輸事件(平成28年5月13日判決)におきまして、定年後再雇用の契約内容が、労働契約法20条に違反しており、定年後再雇用社員に対しても正社員時と同じ手当・賞与を支払うよう判決がでました。また物流大手のH社事件(平成28年7月26日判決)におきましては、契約社員であるというだけで、一部手当が出ていない格差を違法と認め、手当を支払うよう命じる判決が出ました。

 上記2件の判例についてはいずれも労働契約法20条の解釈が争点となっています。
 
 では労働契約法20条とはどういうものなのかというと、端的に申し上げますと、期間の定めがある労働者と期間の定めがない労働者の労働条件において、それを理由に不合理な格差があってはならないというものを明示したものになります。つまり正社員と同じような仕事をしているにも関わらず、有期雇用社員であるという理由で、賃金や待遇の差別はできないということです。

 日本の有期雇用(定年再雇用後の嘱託雇用も含める)については慣習として、上記に違反するようなものが多く見受けられると感じています。しかし、この2件の判例から考えると、今後におきましては、正社員の方と有期雇用の方の職務内容や業務範囲、責任などをシンプルに比較し、「不合理」であるかどうかを判断基準にすることが予測されます。

 ということは以前と同じように慣習で運用している企業すべてに上記のリスクがあると考えられますし、同様の訴訟が増加することが予測されますので、有期雇用社員を雇用している企業様におかれましては、上記判例は重く受け止めるべきかと感じます。

 今一度有期雇用の考え方を見直すいい機会かと存じますので、是非この2件の判例を参考いただき、対策を立てていただければと感じます。

平成28年8月5日

コンサルティング事業部
坂上