「マイナンバー関連の業者選定をめぐる汚職で厚生労働省の室長補佐が逮捕される。」

こんな記事が新聞をにぎわしたのは、つい先日の話。マイナンバー関連のシステム構築は、政府の初期投資だけでも3千億円かかり、さらにマイナンバー制度の経済への波及効果が1兆円規模とされていることを考えると、いかに今回の不祥事がおおごとであり、今後の運営に致命的な打撃を与えたのかがよく分かります。

そんな中、今月下旬にかけて、マイナンバーの通知が本格化し始めます。ただ、簡易書留で届く書類を見て、「これはいったい何の書類?」と首をかしげる人が少なからず出てくるのではないでしょうか。確かに政府はポスターの掲示や新聞広告でのPR、インターネットで特設サイトを開設するなどの周知活動を行っていますが、期待していたほどの効果や国民の理解の深まりがあったとはいえないのが実情です。そもそも、国民全員にマイナンバーを届けることができるのか、一人ひとりの手元に行き渡らない限り、制度が制度ではなくなってしまいます。その難所を超えてこそ、はじめて前に進むことができます。

まずは、確実に12桁の番号を届け、受け取った本人がその番号を確認し、具体的にどういったことに利用されるかを理解する。制度のメリットだけを強調するのではなく、デメリットも伝える。これらは今からでも遅くはありません。混乱を招くことなく、制度を定着させるために最も大切なことは、「納得」と「信頼」という二つのキーワードだと思います。

これだけの巨額を投じて始まるマイナンバー制度。政府の本気度もこれまでとは全く違うため、住基ネットのように普及しない・浸透しない、ということにならないよう各施策を打ち出してくるのは間違いないはずです。何を創るにしても産みの苦しみはあり、周知・理解してもらうには時間がかかるもの。そうはいっても、制度が始まる前に、創る側が自ら汚点を残すことは信用失墜を招きます。「やっぱりマイナンバーを導入しない方がよかったのでは」と至るところから声が上がらないよう、まずは創る側が自浄努力をしてほしいものです。


平成27年10月19日

マネジメント事業部