私たちの業務の中のひとつに、「就業規則の作成」というものがあります。その多くは企業の経営者の方から依頼を受け、既存の就業規則は一旦忘れて全くの“いち”からスタートします。その後何度も打ち合わせを重ね(時には意見が衝突することもあります)、打ち合わせの頻度にもよりますが、およそ4ヶ月から半年かけて「これこそが我が社の顔だ。いや、我が社そのものだ」と胸を張ってもらえるような就業規則を作り上げます。

さて、世の中には様々な就業規則が存在します。
それこそ雛形を流用したようなものから専門家と二人三脚で作り上げたものまで、ほんとうに千差万別です。そしてそれら就業規則そのものに優劣は存在しませんが、“使える”か“使えない”かの違いは確かにそこにあります。

と、ここまで書くとだいたいの方は「なるほど、例えば問題社員が出たような時にしっかりと対応できるのが“使える就業規則”で、そうでないのが“使えない就業規則”ということなんだろう?」とお考えになるかもしれませんね。

確かにそうなのですが、実は就業規則には別の側面があります。
“従業員と会社をひとつに結びつけて同じ方向へ導くバイブル”というのがそれです。
実際にどうすれば「バイブル」になるのかはまた改めてお話しするとして、今回は「同じ方向へ」という部分にスポットをあててみたいと思います。

従業員の思いと、会社(経営者)の思い。
そのふたつが一致し、同じ方向へ進んでいけば、従業員たちの満足度はみるみる上がり、それに呼応するかのように会社の業績も自然と上がっていくでしょう。

極めてシンプルですが、いつの世の中でも通用する、いわば黄金のルールです。

「うちはだいじょうぶ。従業員のみんなはだいたい社長である俺の考え方をよく理解してくれていて、同じ目的に向かって突き進んでるから」
そんな風に思った方もきっといるでしょうね。

でもどうでしょう。果たして本当に同じ目的に向かっているでしょうか。

例えば、会社のみんなで外へ出て、同じ方向を向いて立っているとしましょう。
経営者の視線は目の前のビルを見つめています。
従業員たちは同じビルを見ているでしょうか。
たとえ同じビルを見ていたとしても、同じ階を見ていますか。
同じ階であっても、同じ部屋を見ているでしょうか。
同じ部屋であっても、同じ窓を見ているでしょうか。

従業員と会社の思いを一致させるというのは、結局そういうことなのです。
なんとなく同じ、ではあまり意味がありません。
経営者がどんなことを一番大切にしているのか。一年後の会社はどうなっていたいのか。
例えばそんな簡単なことからでも結構です。ひとつひとつ丁寧に示して共有してやることで、きっと皆の視線が同じ窓を見つめる(同じ目標/ビジョンを共有する)ようになることでしょう。


平成27年9月18日

コンサルティング事業部
増尾