10月1日付で内定通知を出す・内定式を開く企業は多いかと思います。しかしながら、昨年の内定通知後に急激な経済情勢の変化が起こり、会社業績の悪化に伴う内定取消が話題となり、同時に社会問題にまで発展いたしました。厚生労働省の調べでは平成21年3月卒業予定であった学生への内定取消は427事業所2,083人とされています。

採用内定により労働契約が成立したと解される場合には採用内定取消は解雇にあたりますので、その採用内定取消には合理的な理由が必要になります。内定通知後に誓約書等の必要書類を求めた・入社日を伝えたといったことがあれば労働契約が成立したとみなされます。これは書面でなく口頭であっても労働契約が成立したものとされます。(余談ではありますが、口頭だと言った・言わないの水掛け論になってしまいますので必ず書面で提示することをお勧めします。)

学生が卒業できなかった・健康診断で業務に支障が生じる異常が見つかった・犯罪を犯した等の特別の理由があれば労働契約を解除することが認められていますが、単純に売上が悪くなったという理由だけでは労働契約の解除は難しいという側面があり、事業縮小せざるを得ないという根拠・理由まで求められます。ある判例におきましても、「採用内定時には知ることができない事実があって、これを理由として採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められる社会通念上相当して是認することができるものに限られる」とされています。

この逆で、採用内定を出したあとに学生から内定辞退の申し出があった場合にはどうでしょうか?先に申したとおり採用内定により労働契約が成立した場合には、内定辞退は自己都合による退職=労働契約の解除となります。多額の費用をかけて採用活動を行ったにもかかわらず、辞退されては正直たまらないという心情も出てくることも十分理解できます。例年これからの時期、こういったご相談をお受けすることがやはりあります。今年は買い手市場とも言われていますので内定辞退をする方も少ないのではないかと思いますが、まったくゼロにはならないとも思います。人事・総務の方からすれば採用活動が終わってホッとしたいところかもしれませんが、不測の事態に備えておくことも大事な仕事です。


プロモーション事業部
木村