既に新しい年度を迎えてから1ヶ月以上経ちます。一部では景気回復への光が差し始めたとの話も伺いますが、まだまだ前年度からの急激な景気後退の影響により、企業にとっては厳しい状態が続いていると思います。
その影響は当然、従業員の賃金にも波及しており、昇給停止、又は支給減額が行われた事例も少なくありません。その為、従業員の収入減を埋めることについて企業、従業員とも考える必要が出てきました。
このような状況下で、最近増えているのが従業員の兼業・副業であります。企業側もそれ自体の許可制度を整備し、一定の範囲で認めようという動きがあります。実際にはその制度自体がうまく定着しなかった事例もありますが、今一度、兼業、副業に関する基準やその考え方について考えてみたいと思います。
現在でもそうですが、企業の就業規則には「兼業禁止」に関する定めがよく見受けられます。では兼業を行った事実のみでその行為を禁止できるのでしょうか?
実は労働者の兼業や副業を直接禁止する定めは法律上無く、逆に労働者が労働時間外に活動することについて、その自由が保証されています。その為、一律兼業・副業を禁止するという規則を定めても、その効力は無効となります。
では、どの様な場合は制限を行うことが可能なのでしょうか?その判断については次のような基準によります。
@兼業・副業に関する就業時間、活動時間が企業の就業時間と重複している部分がある場合
A本業に対する労務の提供が疎かとなる、又は本業に支障が出るような状況となっている場合(兼業副業での労働時間の長さ・時間帯・労働強度等)
B兼業・副業が、競業に当たる企業での勤務、又は競業に当たる活動に該当している場合
C行う兼業・副業が企業秩序を乱す恐れがある、又は企業の信用を貶めるようなものである場合
以上のような判断基準により総合的に判断し、その兼業・副業を制限することが可能です。又、上記の全ての基準に該当しない場合でも「必ず、事前に許可申請すること」を求めることも認められております。
不景気になると資格取得や兼業・副業に注目が集まるという傾向は強いようであり、その流れは止められませんが、企業としては情報漏洩リスクや、労働力の低下等、を考えれば兼業・副業について認めがたいものであることは本音であると考えます。従業員の生活の安定と、企業利益とリスク、その判断は悩ましいところです。


プロモーション事業部
大西