「人材○○」「人員○○」「雇用○○」。これらの○○に入れる言葉としてどんなものが思い浮かぶでしょうか。去年の今頃までなら「活用」「育成」「補充」「拡大」などの言葉が挙げられたでしょうが、今、私たちの目や耳に入るのは「削減」「調整」「不安」などのマイナスの意味の言葉ばかりです。人件費削減をねらって雇用されていた外国人労働者たちもその数を急速に減らしています。そういう意味ではタイミングの悪い話かもしれません。

 みなさんの会社で外国人を雇用するとなったとき、どんなことに注意したらいいでしょうか。もし、あなたが人事・総務のベテランであれば、たちどころに要注意点をリストアップした書類ができるでしょう。しかし、最も重要かつ困難なのは、子供でも思いつくであろう「言葉の問題」なのです。

 日本語で面接や試験をして外国人を雇ったのに仕事を始めてみたら日本語能力が不足していた、というのはよくあることです。そして、社内で日本語を教えたり、外部の教室に通わせたりしてもなかなか効果が上がらない、というのもよくあることです。それはその外国人の素質の問題ではなく、会社の側で「どういう日本語能力を求めるのか」という部分が明確になっていない場合が多いのです。

 例えば、電話で商談などもできる人がほしいとします。面接の際、相手の外国人が非常に快活で、身振りや表情もはっきりしていて、日本語もたいへん流暢で四字熟語やことわざもよく知っていました。採用してもいいでしょうか。いいえ、まだ決めるのは早いです。これだけでは電話でちゃんと話せるかどうかはわかりません。なぜなら、身振りや表情に助けられて意思疎通できている可能性が高いからです。電話で用を足すというのはただ話すのとは違う一段上の能力が必要になるのです。これは私たちがどこか外国のホテルの部屋をとるとして、直接フロントに行くのと電話をかけるのとどちらが成功しやすいかと考えればお分かりいただけると思います。

 これはほんの一例ですが、このように、業務遂行に本当に必要な日本語能力というものは正確に分析・把握すること自体難しく、それを試験したり教育したりするとなるといっそうの困難が伴います。今は不況の真っ只中ですが、いずれ国籍に関わらず優秀な人材を有効に活用する時代が来るでしょう。外国人労働者への日本語教育の重要性は今、密かに高まりつつあると言えます。


ソリューション事業部
秋山