年度末が着々と近づいてくる中、未だ景気回復の出口が見えようとはしていません。景気問題と並行して雇用問題も回復する兆しがなかなか見えない中で、新聞やニュース等で「休業手当」や「一時帰休」という言葉を目にした・耳にした方も多くいらっしゃることでしょう。

 労働基準法では「使用者の責めに帰すべき事由」における休業の場合、使用者は該当労働者に対して平均賃金の100分の60以上の休業手当を行わなければならないとされています。新聞等では平均賃金の100分の80の休業手当を行う事業所様のことがよく載っていますが、実際には平均賃金の100分の60でもよいとされています。ちなみに、ここでいう「使用者の責めに帰すべき事由」とは以下のようなことが挙げられます。
・機械の故障や検査
・原材料不足
・店舗の改装
・景気変動(生産過剰による操業短縮や資金難)
・監督官庁の勧告による操業停止
このような理由で休業した場合に休業手当を支払う必要があります。

 ここで気をつけなければならない点は、民法にも休業手当についての規定があるということです。民法では、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合は、労働者は休業中の賃金全額の請求権を失わない」とされています。あくまで使用者と労働者の合意による任意規定ではありますが、この規定を排除する特約を締結していなければ賃金全額の支払い義務が生じることもあります。すべての場合において平均賃金の100分の60の休業手当を行えば事足りるというわけではありませんのでご注意下さい。

 また、1日の休業ではなく半日の休業の場合も注意が必要です。半日分の賃金を支払えば残り半日分の休業手当を支払わなくてもいいのでしょうか?これは1日の一部分を休業とした場合の取り扱いとしての通達があり、1日の所定労働時間の一部分を休業した場合でも、その日については平均賃金の100分の60に相当する金額を支払う必要があります。労働の対価である賃金が100分の60に相当する金額に達しなければ、その差額を休業手当として支払わなければなりません。

 休業と簡単に言っても多種多様な決め事があり難しく感じるかもしれませんが、会社都合の休業を設けることで会社は人件費を多少なりとも圧縮できます。労働者にとっては賃金が下がることになるかもしれませんが、雇用は守られていることになります。労使共に痛みを伴うことになりますが、こんな時代だからこそ労使が協力しあえる関係が求められていると感じます。


プロモーション事業部
木村