先日、厚生労働者は、違法な長時間労働を繰り返す大企業について、書類送検される前でも社名を公表する方針を決めました。いわゆる、「ブラック企業」の早期公表です。

対象となる企業は、複数の都道府県に支店や営業所があり、違法な長時間労働により労働基準監督署から繰り返し是正勧告を受けた大企業。具体的には、違法に月の残業時間が100時間を上回り、是正勧告の回数が合計で一定以上に達した段階で公表するということです。今までも書類送検された時点で社名の公表が行われていましたが、それが早まることになります。

これにより、当然、企業側にとってもリスクが高くなるため、より一層適正な労働時間の管理が求められます。今は大企業を対象としていますが、2014年中小企業庁白書によると、日本にある企業のうち大企業の割合はわずか0.3%。この状況でどこまでその効果が現れるか分かりませんが、「中小企業も対象にしないと意味がない」という意見が上がってくるでしょう。

さて、みなさんはブラック企業という言葉を聞いて、どう思われますか?

知恵蔵によると、ブラック企業とは、「労働者を酷使・選別し、使い捨てにする企業。度を超えた長時間労働やノルマを課し、耐え抜いた者だけを引き上げ、落伍者に対しては、業務とは無関係な研修やパワハラ、セクハラなど肉体・精神を追い詰め、戦略的に自主退職へと追い込む。」と定義されています。

この定義が当てはまる企業を「ブラック企業」と呼ぶことに対しては、何の違和感もなく受け入れることができますが、最近では、ハードルが下がっているのか、何でもかんでもブラック企業呼ばわりする人が増えてきていることも事実です。確かに環境が劣悪なところもあるのは否めませんが、自分の権利だけを主張し、「それがブラックなら、何がブラックではないのか」と、聞きたくなるような意見も飛び交っています。

社会というものは、一旦ある方向に傾くと途中まではスムーズにいきますが、ある一定のところまでいくと止まり、その逆の方向に向けて動き始めます。そして、その傾きが大きければ大きいほど、反対への傾きも大きくなります。振り子と同じです。

ブラック企業についても、いわれのない企業までブラック呼ばわりされるということは、それだけブラック企業が社会に蔓延してきたことが理由なのでしょうか。どこまでこれが拡大するかは分かりませんが、今後、給与水準や福利厚生が大企業と比べて悪いということだけでブラック扱いされる可能性もあるのではないかと思います。

インターネットや雑誌等に書かれた情報はすべて正しい情報であるとは限りません。まずは、その情報をそのまま鵜呑みすることなく、どの部分が法律に反して問題なのか、実際に公表されている事例から理解を深め、ブラック企業についての正しい知識を身につけるところから始める必要があります。


平成27年5月18日

マネジメント事業部