「選手の1秒、コーチの1時間」という言葉があります。

アメリカンフットボールの世界でよく使われる言葉ですが、そのままビジネスの世界にも応用できそうなのでご紹介しましょう。

アメリカンフットボールはよく「準備のスポーツ」だと言われます。試合に勝つためには、まず相手チームの戦術分析、相手選手ひとりひとりの特徴の把握、100以上もある作戦の理解、試合の流れや戦術の理解、コーチやチームメイトとの共通認識、そして選手自身のコンディショニング・・・等が必要となります。アメリカンフットボールは準備をしたらした分だけ結果として返ってくるスポーツなのです。

ではいったい誰がその準備をするのか。

選手たちはもちろんですが、準備段階での主役はむしろ選手以外のコーチ陣です。一般的にはまず次の対戦チームの直近数試合のビデオデータを入手し、それを1プレーずつプレイヤーごとに確認します。全てのプレーにおける全ての選手の動きを分析するので1試合の確認に10時間以上かけてビデオを見ることもあるようです。

そして次に、ビデオ分析で明らかになった相手の戦略や選手起用、選手個々の傾向、強み、弱みに対して自チームが有利になる戦略や戦術を組み上げていきます。さらにそれを実行するためのプレーとして練り上げ、選手たちに分かりやすく伝えるためにチャート図を作成し、そして実際にビデオ撮影をしながら練習を行った上でプラン通りに動けているか、もっと有効な手はないか、練習後に(またたっぷり時間をかけて)ビデオをチェックします。

こうして何度もPDCAを繰り返すことで準備を行い、試合に臨むことになる訳ですが、
試合で選手ひとりひとりが行う全てのプレー(それらはほんの数秒です)の裏には、コーチ陣の膨大な準備が隠れているということがお判り頂けると思います。比喩的な意味ではなく、本当に「選手の1秒はコーチの1時間」なのです。さらに言えばコーチの1時間のクオリティこそが勝敗を決めるのです。


さて、部下を持つ上司のみなさん。部下の1秒のために、自らの1時間を使う覚悟はありますか?部下の1秒を無駄にさせないだけの質の高い準備はできていますか?

実は先週末、ある関西学生アメリカンフットボール・リーグの試合を観に行ったのですが、そこではひたむきに頑張る優秀な選手たちが、コーチ陣の「準備不足」によって試合に敗れ、涙を流す姿を目のあたりにしたのです(そしてそれはあまりにもつらい光景でした)。

私も部下を持つ身、優秀な選手たちに思う存分最高のプレーをしてもらうための優れたコーチでありたいと改めて身を引き締めていきます。


平成26年11月26日

コンサルティング事業部
増尾