「求人倍率」という言葉をご存知ですか?

これは、求職者1人あたり何件の求人があるかを示すもので、例えば倍率が 1.0 より高ければ、仕事を探している人の数よりも求人のほうが多いということを意味します。
一般に求人倍率が高い社会は、企業がより多くの労働者を求めており、つまりそれだけ経済に活気があると考えられます。

求人倍率は「有効求人倍率」と「新規求人倍率」の二つに分けられます。違いを簡単に言うなら、「有効求人倍率」は延べ人数から算出した数字、「新規求人倍率」は直近の単月だけで算出した数字といったところでしょうか。

ちなみに2014年5月の有効求人倍率は全国平均で1.09倍となっています(最高は愛知県の1.57倍、最低は沖縄県の0.63倍)。アベノミクス効果で景気回復の兆し、なんて言われていますが、この求人倍率は景気の良し悪しを図る上で重要な要素となる雇用動向を示すものなので、一般的に1.0を超えると景気上向き、と言われるわけです。

「数字上は景気回復を示していても実際にはまったく感じていない。大企業だけの話で中小・零細企業には関係ない。」これが大半の人の思いでしょう。まあいろいろと思うところはありますし、中小・零細企業が日本経済を支えていることも確かですが、一方で経済指針を図る観点としてはしょうがない部分もあるのかなとも思います。

では、本当に求人倍率の増加が直接景気回復につながるのでしょうか。現在、小売や外食の店舗運営に欠かせないパート・アルバイトの不足が深刻化しています。あるアンケート結果では約7割の企業がこれらパート・アルバイトが不足していると回答しています。しかも解消のメドが立っていないとのことです。よって、とりわけ考えられる対策は効率化を図ること。雇用を増やす選択肢が絶たれたとなると、店舗を減らして人員不足を解消するか、業務の効率化を図って2人必要だったところを1人にするか、こういった解決方法しかありません。実際にそういった動きをしている企業も見受けられます。

国内のパート・アルバイトの人数は雇用者全体の25%ほどを占めています。ここの求人倍率が上がると全体的にも上がります。1人あたり1社以上の就職先があるということは、裏を返せば選ばれない企業もあるということで、人員不足が出るのは理にかなっていると言えます。要するに、企業が求めるパート・アルバイトの数と実際にその立場で働くことを希望している人とのバランスが崩れているわけです(今更な話ですが)。

「雇用の安定」の実現には、やはり正規雇用者の人数に尽きます。運営上の細かい戦略や政策があるにせよ、企業が積極的に正規雇用者を求めるようになってこそ本当の意味での景気回復と言えるのではないでしょうか。

平成26年7月23日

コンサルティング事業部
城戸