「妊娠したらクビだと言われた」「採用時、妊娠しないと約束させられた」――。

アベノミクスの目玉とも言える育児休業3年取得。まるで現行の制度(1年もしくは1年半取得)がきっちり浸透したかのごとく、「さっ、次の段階だ」みたな印象を受けますが、現実はというと、冒頭のようなケースがいまだに横行している状況です。

このような出産や妊娠に関する職場での嫌がらせが年々増加し、社会問題化しています。問題意識を共有するため、こういった嫌がらせを「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」と呼ぶ動きがでてきました。
2013年5月、連合非正規労働センターが実施した意識調査によると、「マタハラ」という単語の意味を理解していた人は、わずか6.1%しかいませんでした。また、同調査では、妊娠経験者の25.6%が「マタハラを受けた」、そのうち45.7%が「相談せずに我慢した」と回答しており、セクハラなどに比べて認知度が低いため、だれにも訴えることができずに悩んでいる女性が多い実態が浮き彫りになりました。さらに同調査には、「妊娠中・育休明けに残業・重労働を強いられた」、「雇用形態を変更された」、「嫌がらせをされた」、「心ない言葉をかけられた」といった声が寄せられています。

妊娠したことを理由にして、解雇など不利益な取扱をすることは、男女雇用機会均等法によって明確に禁じられています。さすがにこれは容認できませんが、日々事業主(特に中小企業)からの相談を受けている側とすれば複雑な思いもあります。かつかつの人員でなんとかやり繰りをしている状況で、身分を保障しつつ長い休みを与えなければならないことが、その後の事業運営に大きな影響を与えるのは容易に想像できます。それでも法律だから、と割り切って制度を理解し実行している事業主も数多く存在します。今いるメンバーで回すのも大変ですし、だからと言ってそう簡単に代替要員を雇えるものでもありません。

そうした事業主の苦悩や葛藤もあるということを知ってほしいと思います。
少し乱暴な言い方ですが、25.6%が受けたのが「マタハラ」なのでしょうか。この中には単なる能力不足や仕事に対する姿勢が原因で「叱られた・注意された」ものを、産休・育休が原因と都合の良いようにすり替えただけのものも入っているような気がしてなりません。

使用者と労働者では圧倒的に使用者が有利です。ですが、労働基準法は圧倒的に労働者が有利に作られています。産休、育休に関することひとつを取っても、労使のトラブルがなくなることはないでしょうが、やはりお互いの歩み寄りが大切です。お互いを思う気持ちが大切です。まあ、そんな奇麗ごとは通用しないケースが多々あることももちろん分かっているつもりですが…。

そう考えると、労使でどうにもならない問題を少しでも減らすための努力はやはり「国」が行なうべきです。いい加減、大企業だけを意識したものでなく、中小企業の現実に目を向けた政策を打ち出してほしいものです。

プロモーション事業部
城戸