アベノミクスの経済成長戦略がうまくはまったのでしょうか、景気の高揚感から最近、解雇に関する相談が減ったような気がします。つい2年ほど前は、話し合いの上、互いに「退職に関する合意書」を取り交わすひな形の作成を頻繁に行っていたのですが、いまは仕事を確保すべく各企業は忙しい思いをされているのだと思われます。

先日「解雇の金銭解決制度」(従業員が解雇されたときに企業が和解金を支払って解決する仕組み)が大きな話題となっていました。
解雇については、法律で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」(労働契約法16条)とされており、また、判例では、解雇(整理解雇)を行う場合には4つの要件(人員削減の必要性、解雇回避努力の履行、被解雇選定者の合理性、手続きの妥当性)が必要であるとされ、解雇の実施は企業にとって非常にハードルの高いものとなっています。

整理解雇の場合、元従業員が勝訴すると(解雇が不当であると認定)、職場復帰が原則となりますが、元の職場に戻るのは現実的には難しいものです。そのような場合、「和解金を支払うことでトラブルを解決する(職場復帰させない)のが妥当」「和解金の相場がわかればトラブルの早期解決につながる」などというのが、制度導入に賛成する側の意見として取り上げられ、個人的には同感です。

一方、導入を反対する側の意見には、「『解雇が違法である』と裁判所が認めたのに職場復帰できないのはおかしい」「企業が『お金を払えば解雇できる』と安易に考えやすくなる」などといったものがあり、なるほどもっともであると言えますが、実務的に関わっていると金銭的な解決を労働者側が要求しますし、日本の労使慣行上は、まだまだ職場に残るということが難しいのが現状ではないかと思い、だからこそこのような議論になっていると改めて感じました。

この制度の実現には、労働組合や中小企業経営者との調整が焦点になると言われており、どのような制度が企業側・労働者側の双方にとってよいものなのか、ある程度の合意が見られなければ制度の導入は難しいと言え、法制化への道は険しいものだと感じます。

日本の労働法制はとかく労働者保護にあり、企業側にとって弾力的に運用できる部分が非常に少なく、企業競争力を弱めている側面があると思います。

中小企業の対応としては、いままで通り話し合いによる解決を続けていくしか今のところ方法はありませんが、きっちりと双方が納得して解決ができるように、書面を残していく手助けなどを通じて、これからも企業の味方であり続けたいと思います。


プロモーション事業部
長尾