少し前に放送されていた某缶コーヒーのテレビ・コマーシャルが“セキュリティ的にヤバイ”というのでインターネットサイトを中心に話題になりました。どんなコマーシャルだったかというと、今をときめくアイドルグループのメンバーが演じる女性社員が会社へ出社してきたもののセキュリティゲートを通れずあたふたと悪戦苦闘していると、若くてハンサムな男性社員が横からスッと自分のICカードを差し出して通してくれるというものです。

このコマーシャルに対して「他人のICカードでセキュリティゲートを通るとは何事か!」「自分のICカードを一度使ったこの男性社員、自分は一体どうやってゲートを通過するの?」「セキュリティ上かなりマズイでしょ!」等と批判が殺到したのです。画面に小さく“CM上の演出です”と記されていたにも関わらず、結局この缶コーヒーメーカーが謝罪のコメントを出すに至ったとのこと。

もちろん本当の会社でなら他人のICカードでセキュリティゲートを通るなんて、それこそ大問題なのでしょうけど、正直なところ「そんなに揚げ足とらなくてもいいじゃないか」と私は思います。CM上の演出ですと表示されているコマーシャルに対して、「不正幇助だ!」と声高に叫ぶのってそれはそれでちょっと威圧的で恐ろしい。

それにしても最近はテレビやチラシでも「写真はイメージです」や「良い子は真似しないで下さい」といった類の注意書きが増えてましたね。もちろん行き過ぎた演出は良くないかもしれませんが、それでも一昔前に比べると“ユーモア”が減ったような気がして何だか窮屈に感じるのは私だけでしょうか。

よく外国人と比べて日本人はユーモアが少ないと言われます。確かにイギリス人やアメリカ人のように「相手との距離を縮める為に」ユーモアを積極的に取り入れるというより、我々日本人は仲の良い相手と話をしている中で「距離が縮まった証として」ユーモアがようやく(春を迎えて冬眠から目覚めた熊のように)顔を出すことの方が多いかもしれません。

ユーモアといえば、先日高速道路のサービスエリアの売店で「アメノミックス」という飴の詰め合わせが売られているのを見つけました。もちろん「アベノミクス」のパロディです。パッケージには安倍首相の似顔絵が描かれていて、更には“従来品より2%増量”との徹底ぶり。なかなか凝ってます。
後で調べてみるとこの商品は結構な人気で、安倍総理の手にも渡り御本人からも好評だったとのこと。この商品を販売している和菓子メーカーの社長も「このまま売上が好調なら従業員の賃金を2%アップします!」と本家アベノミクスへの期待度も大きいようです。


景気が悪ければ、なんとなく身の回りがギスギスして他人に対して非寛容になってしまうという説がありますが、なるほど、先の缶コーヒーのテレビ・コマーシャルも景気が回復した時に放送すれば今回のように批判が殺到するようなことは無かったのかもしれません。

ところで今回の一連の騒動でこの缶コーヒーが話題になったことは確実です。ネットで話題になり大勢の目に触れることで、知名度も急上昇したことでしょう。
もしかしたら、このようにネットで叩かれるようなテレビ・コマーシャルを「わざと」作り、商品の売上増に繋げる意図があったのであれば…

考えすぎかもしれませんが、それはそれでかなりしたたかな戦略ですね。今の時代、したたかさも大きな武器ということでしょうか。一日も早くユーモア溢れる世の中になることを売店で買った「アメノミックス」を舐めながら願わずにはいられません。


プロモーション事業部
増尾