今年度の最低賃金の引き上げ幅の目安が時間あたり平均7円アップ、全国平均の時給は現在の737円から744円に上昇する見通しとなりました。

最低賃金というと、最近よくニュースなどで取り上げられているのが「逆転現象」の問題です。これは最低賃金が生活保護の給付水準を下回るものですが、現在逆転現象が生じている自治体は11都道府県もあり、これは昨年度の最低賃金改定時と比べて8都道府県も増えています。

時間給に換算した生活保護の給付水準と最低賃金の差額が最も大きいのは、北海道で30円。次いで東京都20円、宮城県19円、神奈川県18円、大阪府15円、埼玉県と広島県12円、兵庫県10円、京都府8円、千葉県6円、青森県5円と続きます。

無理な賃金の引き上げは、今の日本経済を取り巻く厳しい環境から見ても現実的ではないですし、企業の収益を圧迫することによって人員削減や採用を控えるなど雇用機会が失われるようなことになっては意味がありません。ですが、このまま逆転現象が続けば労働意欲を失う人も増えるでしょう。生活保護の不正受給も相次ぎ、逆転現象の解消が急務であることは確かです。

社会保障審議会では、生活保護の支給水準の妥当性の検証を進めています。ですが、支給水準の引き下げありきではなく、医療扶助や生活扶助、給付の支給方法などのあり方を精査して見直していくべきであることが強く求められています。

しかしながら、このような生活保護の給付抑制策も逆転現象の解消の直接的な解決策とはなりません。成長の見込める分野(医療・介護・農業・環境等)で雇用の受け皿となる市場を育てること、働けるのに生活保護に頼る人に自立を促すための支援策を講じることが先決ではないでしょうか。

現行この制度で進んでしまっている以上、簡単に解決できる問題でないことは誰もが百も承知です。だからこそ国はその場しのぎではなく、将来を見据えた施策をより具体的に示してもらいたいものです。


プロモーション事業部
城戸