一般従業員としての身分を終了し新たに取締役として就任したのであれば、その在任期間中は有給休暇の算定基礎となる勤続年数から除かれます。

有給休暇の付与の対象となるのは雇用契約に基づく労働者ですので、一般的に委任契約により経営者の一員として業務執行権を有する取締役には労働者性が無いものとして判断され、その在任期間は有給休暇の算定基礎として従前の勤続年数に通算されません。従いまして、ご相談のケースでは取締役を退任し新たに一般従業員として雇い入れられた日から勤続年数をカウントし、要件を満たせば6ヶ月経過した時点で法定の10日付与されることになります。

一方で兼務役員については取り扱いが異なります。労働者性を維持したまま役員としての職務も兼務するのであれば、有給休暇の付与の対象となりますので兼務役員としての期間は勤続年数に通算されます。一般的には取締役営業部長や工場長などがこれに該当しますが、むしろ肩書きや役職名よりも勤務実態で判断されますので注意が必要です。
この場合、取締役としてどの程度まで業務執行権や裁量が与えられているか、あるいはその対価(報酬・賃金)がどのように支払われるのかによります。

一般従業員から役員に就任あるいは兼任する場合について、どのような勤務形態になるのか上記内容についてしっかり説明・同意した上で、改めて契約書を取り交わして書面に残し、また就業規則においてもこのようなケースについて勤続年数をどのように扱うのか、その詳細について定めておくことが肝要となります。